木版画は私達日本人にとって一番馴染みがある版画だと思います。
図工の時間にやった思い出がある方が多いと思いますが、版木を彫刻刀で彫り、そこに水、膠、グリセリン等で溶いた顔料を乗せ刷毛で馴染ませ、和紙を見当(版を重ねる時にずれないようにするもの)を使い版に乗せバレンで摺ります。
これを水性木版と呼び、東洲斎写楽や葛飾北斎など江戸時代に活躍した人々もこの技法を使っています。
他に、油性木版と呼ばれるものがあり、それは版木を彫りその上にローラーで油性のインク(主にリトグラフのインク)を乗せてプレス機で刷るものです。
更に彫った後の凹部分に油性や水性のインク(シルクスクリーンのインクを使っています。)をつめる凹版摺りや、桜の木を輪切りにした版木を磨いて、銅版画のエッチングのように繊細な線を出す木口木版という技法もあります。
基本的に難しい溶剤などが必要なく、制作過程で応用が利くので親しみやすい技法といえるでしょう。
現在では版木は安価なベニヤ板やラワンで制作しており、変わったものではリノリウム(ゴム製の板のようなもの)も使用したりしています。
リトグラフのページで紹介されているように木版リトグラフという技法もあり、木版画とリトグラフの魅力的な部分をあわせ持ったもので、ワークショップなどでよく制作されています。
なお西洋からの印刷技術が伝わるまでは木版画が日本の印刷の中心で、瓦版や暦や書物等広く木版画が使われていました 。